睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる、あるいは弱くなる病気で、日中の眠気や倦怠感、集中力の低下、長期的には心血管疾患のリスク増加につながります。現在、国内外で従来のCPAPに加わる新しい治療薬・治療法の開発が進められており、その有効性と安全性を確かめる治験が日本各地で行われています。
このページでは、SASを対象とした治験の参加条件、参加するメリット、注意点、健常人試験との違い、PAP療法(CPAP等)を受けている方や未診断でいびきが気になる方の扱いなどを、治験参加者募集プラットフォーム「ぺいるーと」が解説します。
SASを対象とした治験の主な募集条件(例)
- SAS(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)の診断がある方
- 18歳以上の方が中心(試験により年齢上限あり)
- PAP療法(CPAP等)を継続中の方、使用していない方、いずれも対象になる試験あり
- 通院または短期入院での参加(試験により異なる)
※具体的な参加条件は試験ごとに異なります。詳細は各募集案件をご確認ください。
目次
- 1 睡眠時無呼吸症候群(SAS)を対象とした治験とは
- 2 開発中の新しい治療薬・治療法
- 3 こんな方が参加されています
- 4 こういう方でも参加できる試験があります
- 5 参加できる方の例
- 6 参加できない場合がある例
- 7 健常人試験との違い
- 8 いびきが気になる方・未診断の方へ
- 9 治験に参加するメリット
- 10 治験で確認されること
- 11 治験参加の流れ
- 12 費用・負担軽減費について
- 13 参加前に確認しておきたいこと
- 14 参加者の体験談
- 15 よくある質問(FAQ)
- 15.1 Q. CPAP治療を受けていますが、治験に参加できますか?
- 15.2 Q. いびきを指摘されていますが、まだSASの診断は受けていません。参加できますか?
- 15.3 Q. 肥満がありますが、参加できますか?
- 15.4 Q. 高血圧や糖尿病があっても参加できますか?
- 15.5 Q. 市販の睡眠薬を飲んでいますが、参加できますか?
- 15.6 Q. 仕事と両立できますか?
- 15.7 Q. 治験中にCPAPの効果を確かめるような検査はありますか?
- 15.8 Q. 治験参加で得た情報や検査結果は、自分の主治医に共有できますか?
- 15.9 Q. 治験に参加すると謝礼がもらえると聞きましたが、本当ですか?
- 15.10 Q. 治験参加の申し込みから実際の参加開始まで、どれくらいかかりますか?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を対象とした治験とは
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome、SAS)は、睡眠中に10秒以上の呼吸停止や呼吸の弱まりが繰り返し起こる病気です。日本では潜在的な患者数が多いとされていますが、診断・治療を受けている方はその一部にとどまるとされています。
現在のSASの標準治療には、CPAP(持続陽圧呼吸療法)、口腔内装具(マウスピース)、減量、生活習慣の改善、外科的治療などがあります。これらはいずれも有効性が確認された治療法ですが、装着の負担、継続のしにくさ、効果に個人差があるなどの課題も知られています。
こうした既存治療の課題に対し、国内外でSASに対する新しい治療薬・治療法の研究開発が進められています。その有効性と安全性を実際の患者さんで確認するために行われるのが「治験(臨床試験)」です。
治験は、国が定めたルール(GCP省令)と、各医療機関の審査委員会の審査・監督のもとで実施されており、参加者の安全と権利が制度として守られる仕組みになっています。
開発中の新しい治療薬・治療法
SAS領域では、現在以下のような方向性で新しい治療法の開発が進められています。具体的にどの治療法が用いられるかは、個別の治験計画書に基づいて医師から説明されます。
経口治療薬(飲み薬による治療)
CPAPや口腔内装具のように装着するタイプではなく、内服薬としてSASの症状改善を目指す治療薬の研究が進められています。気道の状態や上気道筋の活動、睡眠中の呼吸調節などに関与する薬剤の開発が世界的に行われています。
PAP療法(CPAP等)と併用・補助する治療
すでにPAP療法(CPAP等)を受けている方を対象に、PAP療法と併用することでより良好な効果や負担軽減を目指す治療法の研究も行われています。これにより「PAP療法を受けているから治験には参加できない」という従来のイメージが変わりつつあります。
肥満を併発する方を対象とした治療
SASは肥満との関連が深いことが知られており、体重や代謝に関わるアプローチを通じてSASの改善も同時に目指す治療法の研究が進められています。肥満症の治療薬開発と隣接した領域で、近年活発に動いている分野です。
こんな方が参加されています
ぺいるーとで募集してきたSAS関連の治験には、これまで以下のような方々にご参加いただいてきました。「自分も該当するかも」と思い当たる方は、ぜひ募集中の治験をご確認ください。
- PAP療法(CPAP等)を継続中の40〜60代男性
- 健康診断や人間ドックでSASの指摘を受けた方
- BMIが高めで、いびきや日中の眠気でお悩みの方
- 高血圧の治療を受けながら、SASの治療も検討されている方
- 長距離運転や夜勤など、日中の眠気が業務に影響している方
- 仕事を続けながら、通院型の試験に参加されている方
- これまで健常人対象の治験に応募して条件に合わなかった方
SASに関連する治験は、通院型・短期入院型などさまざまなスタイルがあり、ご自身の生活スタイルに合わせて選んでいただけます。
こういう方でも参加できる試験があります
「自分は治療中だから治験は無理」「持病があるから参加できない」と思っている方が多いのですが、SAS治験は試験設計の幅が広く、以下のような方でも参加可能なケースがあります。
- PAP療法(CPAP等)を継続中の方: 3か月以上継続されている方は、PAP療法を続けたまま参加できる試験があります
- PAP療法を使用していない・続けられなかった方: マスクが合わない、継続が難しい等の理由で使用されていない方も、対象となる試験があります
- 市販の睡眠薬を使用している方: 薬剤・頻度によっては参加可能。スクリーニングで個別判断されます
- BMIが高めの方: 肥満そのものが除外条件になるわけではありません。むしろSAS×肥満を対象とする試験もあります
- 高血圧・糖尿病で治療中の方: コントロールが良好であれば参加できる試験があります
- 運転業務や夜勤のある方: 通院頻度の低い試験を選べば、仕事を続けながら参加可能
- 健常人試験で条件に合わなかった方: 患者対象の治験なら参加可能性があります(詳しくは後述)
参加可否は試験ごとの基準とスクリーニング検査で個別に判断されます。「該当しそう」と感じた方は、自己判断で諦めず、まずは募集中の案件をご確認ください。
参加できる方の例
SASを対象とした治験の参加条件は、試験ごとに細かく定められています。以下は、過去にぺいるーとで募集してきた試験で多く見られた条件の例です。実際の参加可否は各案件の詳細をご確認ください。
年齢
18歳以上の成人が対象となる試験がほとんどです。試験によって年齢の上限(例: 65歳未満、75歳未満など)が設定されている場合があります。
SASの重症度(AHI等)
AHI(無呼吸低呼吸指数)など、SASの重症度を示す指標で参加対象が定められる試験があります。軽症から重症まで幅広く対象とする試験もあれば、特定の重症度に限定される試験もあります。重症度は事前検査で測定されます。
PAP療法(CPAP等)の使用状況
「PAP療法を継続中の方」を対象とする試験(3か月以上の継続が条件となる場合があります)と、「PAP療法を使用していない方」を対象とする試験の両方があります。マスクが合わない、継続が難しいといった理由で使用されていない方も、対象となる試験があります。
通院可能な地域
治験を実施している医療機関に通院できることが条件となります。ぺいるーとでは札幌・東京・大阪・福岡など全国の試験を扱っており、お住まいの地域に合わせて参加可能な試験をご紹介できます。
過去案件で多かった参加条件の傾向
- SAS(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)の診断がある方
- 18歳以上の成人、PAP療法(CPAP等)を継続中の40〜60代男性が中心
- PAP療法を3か月以上継続中の方を対象とした試験
- PAP療法を使用していない・続けられなかった方を対象とした試験
- BMI高め・高血圧治療中など、生活習慣病合併の方を対象とした試験
- 札幌市など全国の実施医療機関に通院可能な方
- 通院型が中心、短期入院型の試験も実施
参加できない場合がある例
一方で、安全性や試験の科学的な信頼性を保つために、以下のような方は参加が難しい場合があります。試験ごとに基準は異なるため、最終的な参加可否はスクリーニング検査で個別に判断されます。
- 重度の心血管疾患・脳血管疾患の既往または現病がある方
- 重度の呼吸器疾患を合併している方
- 中枢性無呼吸が主体の方(試験によっては閉塞性のみが対象)
- 他の治験に参加中、または直近で参加していた方
- 治験計画書で禁止されている薬剤を継続的に服用している方
- 重度の精神疾患を合併している方
- 妊娠中・授乳中の方、または妊娠の可能性がある方(試験により)
健常人試験との違い
治験には大きく分けて2つのタイプがあります。これを理解すると、ご自身がどの試験に参加できるかが見えやすくなります。
- 健常人を対象とした治験: 健康な方を対象に、薬の安全性や体内動態を確認する試験。持病のある方、定期的な服薬がある方は参加できないことが多い。
- 患者対象の治験: その病気を持つ方を対象に、薬の有効性と安全性を確認する試験。SASの診断がある方が参加するのはこちらのタイプ。
SASの診断がある方や、PAP療法(CPAP等)を受けている方は、健常人試験には参加できないケースが多いですが、患者対象の治験には参加できる可能性があります。
SAS層の方は、BMIが高め・高血圧・睡眠薬の使用など、健常人試験の基準で除外されやすい条件を複数お持ちのことが少なくありません。「以前、健常人試験に応募したが条件に合わなかった」という方も、SAS患者対象の治験ならご参加いただける可能性があります。SASの診断があることで、患者対象治験の参加候補となる場合があります。
いびきが気になる方・未診断の方へ
「家族にいびきを指摘されている」「日中の眠気が強い」「朝起きたときに疲れが残っている」といった症状があっても、まだSASの診断を受けていない方もいらっしゃいます。
SAS治験は基本的に「SASの診断がある方」を対象としていますが、診断がない段階では参加できない場合がほとんどです。気になる症状がある方は、まず睡眠外来や呼吸器内科などの専門医療機関で簡易検査・精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査: PSG)を受けて診断状況を確認される方もいます。
診断がついた段階で改めて治験への参加を検討される場合は、ぺいるーとで募集中の試験をご案内できます。会員登録は無料で、登録後は新しく募集が始まった試験のお知らせを受け取ることができます。
治験に参加するメリット
睡眠状態の詳細な検査が受けられる
SAS治験では、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)など、睡眠状態を詳細に確認する検査が実施される場合があります。睡眠の質や呼吸状態を細かく確認できる機会になります。
新しい治療選択肢を試せる可能性
研究開発中の治療薬・治療法を、医師と治験コーディネーター(CRC)の管理のもとで試せる可能性があります。既存治療で十分な効果が得られていない方にとって、新しい選択肢を知る機会となります。
経済的負担の軽減
治験に参加された方には、通院や検査にかかる時間や交通費の負担を補う「負担軽減費」が支給されます。金額は試験や来院回数によって異なります。
仕事を続けながら参加可能
SAS関連の治験には、月1〜2回程度の通院で完結する試験も多くあります。平日夕方や土曜日に来院できる医療機関で実施される試験もあり、お仕事を続けながら参加されている方が大勢いらっしゃいます。
治験期間中の体調確認
治験期間中は、医師と治験コーディネーターが、検査結果や体調変化を継続的に確認します。試験ごとに定められたスケジュールに沿って、状態を把握しながら進められます。
治験で確認されること
SAS治験では、以下のような項目を通じて、治験薬や治験で評価される治療法の効果と安全性を確認します。
- AHI(無呼吸低呼吸指数)の変化
- 睡眠の質・睡眠構造の変化
- 日中の眠気の程度(質問票や検査)
- 血中酸素飽和度の改善
- QOL(生活の質)の変化
- 安全性(副作用の有無・程度)
これらは試験により異なりますが、いずれも医療機関で標準化された方法で測定されます。
治験参加の流れ
ぺいるーとを通じてSASの治験に参加する場合、会員登録 → 募集中の試験への応募 → 治験コーディネーター(CRC)からの説明 → 事前検査 → 本試験への参加 という流れになります。
各ステップの詳細、インフォームド・コンセント、参加中止の権利、健康被害が発生した場合の補償などについては、別ページで詳しく解説しています。
治験に参加してみたいけれど、応募から実際の試験参加までどのような流れで進むのか、わからない方も多いのではないでしょうか。治験は、医師による説明や同意、事前検診などの手続きを経て、安全に配慮しながら進められます。 このページでは、治験参加の流れを、会員登録から本試験参加までの6ステップとともに、...
費用・負担軽減費について
治験参加にかかる検査費用・治験薬の費用は、製薬会社や治験実施医療機関が負担するのが一般的です。参加者の方には、通院や検査の時間的負担・交通費を補う「負担軽減費」が支給されます。
金額や支給方法は試験ごとに定められており、来院ごとに支払われる場合と、試験完了時にまとめて支払われる場合があります。
治験は、新しい薬や治療法の開発を支える重要なボランティア活動ですが、一般的なボランティアとは異なり、「報酬」が得られる点もその大きな魅力のひとつとなっています。 なお、治験で支払われるお金は「謝礼」や「謝礼金」と表現されることもありますが、この記事では「報酬」という言葉で統一して説明します。 ...
参加前に確認しておきたいこと
SAS治験への参加を検討される際に、事前に知っておいていただきたいポイントを以下にまとめました。いずれも参加同意の前に、治験コーディネーター(CRC)から詳しく説明されます。
- 主治医への相談: すでにSASの治療で定期通院されている方は、主治医にも治験参加を共有することで、より安心して参加いただけます。
- プラセボ(偽薬)の可能性: 試験設計によっては、治験薬とプラセボを比較する場合があります。新薬の効果を科学的に評価するために必要なプロセスで、事前説明で明確にされます。
- 副作用のリスク: すべての治験薬には、想定される副作用や未知の有害事象のリスクがゼロではありません。治験中は医師とCRCが体調を継続的にモニタリングします。
- PAP療法(CPAP等)の扱い: PAP療法を継続中の方が参加する場合、「PAP療法を続けたまま参加できる試験」と「一時的に中断する試験」があります。どちらかは事前に明確に説明されます。
- 同意撤回・参加中止の自由: いったん参加に同意した後でも、いつでも理由を問わず参加を取りやめることができます。通常診療に影響が出ることはありません。
参加者の体験談
ぺいるーとを通じて治験に参加された方々の体験談を、入院・通院・年代別など多角的にご紹介しています。SAS以外の試験も含めて、実際にどのような流れで治験が進むか、参加してどう感じたかなど、リアルな声を読むことができます。
「治験の報酬は魅力的だけど、実際に参加した人はどう感じたんだろう?」 治験について詳しく知らないと、「高額=危険なのでは?」と不安に感じる方も少なくありません。さらに、ネット上には不安を煽る情報も多く、余計に心配になってしまうこともあります。 そこで、ぺいるーとでは、実際に治験や健康...
よくある質問(FAQ)
Q. CPAP治療を受けていますが、治験に参加できますか?
PAP療法(CPAP等)を3か月以上継続されている方が対象となる試験があります。一方で、PAP療法を使用していない方、マスクが合わず使用が難しい方も対象となる試験があります。試験ごとに条件が異なるため、まずは募集中の案件をご確認ください。
Q. いびきを指摘されていますが、まだSASの診断は受けていません。参加できますか?
SAS治験は基本的に「SASの診断がある方」が対象です。まず睡眠外来や呼吸器内科で検査を受けていただき、診断がついた段階で改めてご参加を検討ください。
Q. 肥満がありますが、参加できますか?
肥満があっても参加できる試験は多数あります。試験によってはBMI等の条件が定められていますが、肥満そのものが除外条件になるわけではありません。
Q. 高血圧や糖尿病があっても参加できますか?
合併症の有無・コントロール状況によって判断されます。試験ごとの基準があり、コントロールが良好な状態であれば参加可能な試験もあります。スクリーニング検査で個別に判断されます。
Q. 市販の睡眠薬を飲んでいますが、参加できますか?
使用している薬剤・頻度・量によって判断されます。治験計画書で禁止されている薬剤がある場合、一時的に中止して参加していただくことがあります。詳細はスクリーニング時に確認されます。
Q. 仕事と両立できますか?
試験により通院頻度や入院の有無が異なります。通院だけで完結する試験から、検査入院を伴う試験まで様々です。ご自身の予定に合わせて参加できる試験をお選びください。
Q. 治験中にCPAPの効果を確かめるような検査はありますか?
試験によりますが、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)や血中酸素飽和度の継続測定など、睡眠状態を詳しく確認する検査が実施されることが多いです。
検査結果の一部は、ご本人の希望に応じて共有可能な場合があります。詳細は治験コーディネーターまでご相談ください。
Q. 治験に参加すると謝礼がもらえると聞きましたが、本当ですか?
治験参加者には「負担軽減費」(通院や検査の時間的・経済的な負担を軽減する目的の支給)があります。労働の対価としての「報酬」ではない点にご注意ください。金額は試験により異なります。
Q. 治験参加の申し込みから実際の参加開始まで、どれくらいかかりますか?
試験により異なりますが、応募から事前検査、結果確認、本試験開始まで、概ね数週間〜1-2ヶ月程度かかることが多いです。
SASの治験は、新しい治療法を生み出す重要なプロセスであり、参加される方一人ひとりの協力が将来の医療を支えています。ぺいるーとは2014年の運営開始以来、安心して治験に参加していただけるよう、会員の皆さまを丁寧にサポートしています。
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