お金・報酬

治験報酬の相場は?治験の謝礼が高額な理由・税金・休薬期間について解説

公開日 2020年11月30日 最終更新日 2022年05月18日

治験は「入院」と「通院」の2タイプに大別され、それぞれ報酬の相場価格が異なります。

ここでは報酬相場を始め、報酬が高額な理由、税金や休薬期間に関する注意点を解説します。

治験報酬の基礎知識をギュッと詰め込んだ1ページなので、治験の参加前にご一読ください。

【ケース別】治験の報酬相場はどのくらい?

入院タイプの治験は1泊あたり15,000~30,000円、通院タイプの治験は通院1回につき10,000円(※)が、支払われる報酬の目安です。入院タイプの場合、入院期間によっては報酬が10万円以上になることも珍しくありません。

※通院先が大学病院の場合には、例外的に通院1回につき報酬が7,000円になることがあります。

より具体的なケースを想定し、報酬の目安をケース別に作成しました。

今回例とするケースは2つ。20~45歳の健康的な男性を対象とした入院タイプの治験、高血圧・糖尿病など疾病のある方を対象とした通院タイプの治験です。

項目 20~45歳の健康的な男性 疾病のある20歳以上の方
種類 入院 通院
期間・回数 2泊3日×2回
(実質4泊6日)
8ヶ月で10回通院
報酬総額 約12万円 約10万円




治験報酬の支払い方法・時期は2パターン

「謝礼は現金即日払いですか?」
「報酬はいつもらえますか?」

治験の報酬に関して、このような質問をいただくことが多いため、一般的な支払い方法・支払い時期を解説します。

  • 入院の治験の場合、最終退院日に現金を手渡し
  • 通院の治験の場合、通院のたびに現金を手渡し、または通院翌月末に通院回数分を銀行振込

会社によって違いはあるものの、上記が基本的な形態です。なお、2回に分けて実施されることの多い入院タイプの治験は、入院2回目の退院日(最終日)に報酬の支払いが行われます。

初回の健康診断の謝礼は来院当日に支払われる

初回の健康診断の際に支払われる3,000~5,000円ほどの交通費は、入院・通院タイプのどちらであっても来院当日に支払われます。

謝礼金の受け取りは募集会社ではなく治験コーディネーターから

治験に参加した際の謝礼金を、弊社のような募集会社から直接受け取るケースはまれです。通常は実施医療機関、または治験施設支援機関(SMO)の治験コーディネーター(CRC)さんから、治験参加者の皆さまへ謝礼金が支払われます。

機会は少ないのですが、弊社から謝礼金をお支払いする場合には、基本的に退院・通院日の翌月末に銀行振込でお支払いしています。



治験の報酬が高額なのは危険だから?

入院タイプの治験は高額であることから、いつしか「治験=高額報酬=危険」というイメージが定着しました。

これは完全な誤解です。報酬が高額になる理由としては、拘束時間の長さが関係しています。

一般的な時給に24時間(治験の拘束時間)をかけ算すると、報酬が妥当なものであると分かります。

1,000円×24時間=24,000円

入院タイプの治験は、1泊あたり15,000~30,000円が報酬の相場です。これを考慮すると、寝ている時間も拘束時間となる治験は、決して理解できないほど高額な報酬額ではないとお分かりいただけるはずです。




治験の報酬が高い理由

治験参加者は24時間の拘束時間をどう過ごしている?

治験の参加者は24時間拘束されることになるため、多くの方は施設にある漫画やテレビ、持参したパソコンやゲーム機を使って過ごしています。

▶︎▷ 入院中のスケジュール・時間割

入院中は外出や面接ができないものの、投薬や採血などの検査にかかる時間以外は自由です。そのため、拘束時間や検査内容にそれほど負担を感じない参加者のなかには、参加する労力よりもリターンが大きいと感じる方もいます。

「危険だから報酬が高額」ではないもののリスクはある

「危険だから報酬が高額」といった認識は誤解であるものの、治験による事故が一切ないわけではありません。

2019年7月、健康な成人男性を対象とした治験において、国内初の死者が出ました。参加者の飛び降りが死因であり、他の被験者に重篤な有害事象はなかったものの、このとき厚生労働省は「治験と死亡事故との因果関係を否定できない」と評価したのです。

その詳細や治験の危険性、副作用の正体について、こちらの記事で解説しています。

治験にかかる費用は交通費と初診料・再診料のみ

治験費用図

「治験では報酬をもらえる代わりに参加にお金がかかるのでは」と考えてしまうものですが、入院・通院ともに特別な参加費を負担することはありません。

  • 入院の場合、かかる費用は医療機関までの交通費のみ
  • 通院の場合、かかる費用は交通費+初診料・再診料

上記の通り入院タイプなら交通費のみ、通院タイプなら交通費と初診料・再診料がかかるものの、負担軽減費を受け取れるため完全な自己負担にはなりません。

すでに持病により通院しており、普段から診察料・薬代などを負担しているケースであれば、その金額の一部(または全部)を治験の謝礼金により賄えます。この場合には、特に治験へ参加するメリットが大きいと言えるでしょう。

治験の報酬は給料やアルバイト代とは違うの?

いまでは副業(正確には有償ボランティア)として広く認知される治験ですが、治験により支払われる報酬は「負担軽減費」や「治験協力費」に分類されており、一般的な給料・アルバイト代とは区別されます。

治験参加者に支払われる負担軽減費は、運動や飲酒の制限、入院・通院にかかる負担軽減に支払われる費用です。一方、給料やアルバイト代は労働により勤務先へ貢献した対価であるため、これらと報酬は正確には異なる収入です。

ただし、どちらも課税対象となり税金がかかります。治験の報酬から経費(交通費や初診料・再診料など)を差し引いたお金は「雑所得」という扱いになり、雑所得が一定額を超えると確定申告が必要となります。

どのような場合に確定申告が必要となり、いくら税金が課せられるのかは以下の記事にまとめました。脱税を指摘されてペナルティを受けないように、こちらの記事もあわせてご参照ください。





治験の報酬に関する注意点3つ

治験の情報を調べると「働かず稼げる」「短期間で高収入」といった謳い文句が目に入ります。しかし、刺激のある言葉が連なった情報を目にしたときは、いったん冷静になってから判断を下すよう心がけてください。

治験の休薬期間は1~6ヶ月

治験の報酬を多く獲得しようとして、短期間のうちに連続して治験へ参加してはいけません。

検証の正確性や安全性を確保するため、治験前には薬を服用しない「休薬期間」を設ける必要があるからです。定められる休薬期間はさまざまですが、1~6ヶ月程度の範囲に収まるものが大半です。

その中でも、通常、休薬期間は4ヶ月と設定されるのが一般的です。

複数の治験には同時参加できない

治験を同時に複数参加することは禁止されています。主な理由としては、以下が挙げられます。

  • 薬の安全性・有効性を正確に判定できないため
  • 薬の飲み合わせが悪く、健康被害が生じるリスクがあるため

必ず、参加中の治験が終了し、休薬期間を終えてから次回の治験へ参加してください。

本来「治験バイト」とは言わない!?金銭誘引は禁物

実は「治験バイトで高額収入!〇〇万円」など、金銭誘引に該当する行為は禁止されています。過度に期待を煽って冷静さを失わせることは、治験の大原則である「本人の自由意志」を損ねる行為にあたるからです。

日本製薬工業協会が公表する要領にも、以下のような記述があります。

被験者負担軽減は、種々の負担が軽減する内容、負担が軽減される金額の記載は可能である。ただし、金銭の支払いによって誘引するような表現は認められない。

引用:日本製薬工業協会 医薬品評価委員会「治験に係わる被験者募集のための情報提供要領<改訂版>」

治験は有償ボランティア(治験ボランティア・創薬ボランティア)と呼ばれ、本来なら治験バイトと呼ぶべきものではありません。これを理解して運営されている治験募集サイトでは、高収入であることを前面に出して広告や体験談を掲載することはないのです。

現実には謝礼の大きさをアピールする人・広告が溢れているものの、その誤解がトラブルを招く可能性はゼロではないため、治験に関する知識の1つとして覚えておいていただければと思います。



不安がある場合は「参加者の体験談」からチェック

治験は拘束時間が長く、謝礼金が高額である点は魅力的です。しかし、実用化前の薬に怪しさを感じたり、施設内での過ごし方がイメージできなかったり、いろいろな不安が付きまとうものです。

そこで、実際に治験や臨床試験のモニターとして参加した方から、どのような感想を抱いたのか意見をいただきました。こちらに参加者から届いたリアルな体験談をまとめています。

ぜひ、治験や臨床試験の実状をお確かめください。