治験は危険?治験の死亡事故や副作用について解説!

治験による死亡事故

死亡事故

2019年7月に日本国内で健康成人を対象とした治験によるはじめての死者が出ました。

男性が治験終了後に電柱から飛び降りて命を落とされたのですが、この時使用された治験薬と似た薬には、自殺企図(自殺をくわだてること)の副作用があったため、厚生労働省も「治験と死亡事故との因果関係を否定できない」とし、国内初の治験による死亡事故として扱われることになりました。

この男性は、治験退院(終了)後に再び来院し、看護師に不安感などを訴えたため、治験責任医師から心療内科の受診を進められましたが、それを拒否。その翌日電柱から飛び降りて死亡しました。

それまで、健康成人の治験による死亡事故としては、2016年にフランスでおこなわれた向精神薬の治験事故が知られており、被験者1名が死亡、その他5名が何らかの神経系合併症をおこしました。

過去に日本でも、持病の治療薬の治験で、間接的に治験の死亡例として扱われたケースはありました。しかし、冒頭の2019年に起きてしまったこの治験の死亡事故は、持病の治療薬ではなく健康成人を対象にした治験であったため、ニュースなどでセンセーショナルに報じられることになりました。

治験は本当に危ない?

治験は危ない?

日本で起こってしまった治験によるはじめての死亡事故。

これは非常に痛ましい事故ですが、逆にこれほど大きく報じられるということは、このような事故は極めて稀な例であると言う見方もできます。

過去何十年も、日本のみならず世界中で治験はおこなわれており、数多くのボランティアの方が治験に参加されています。

頻繁に治験の事故に関するニュースが世間を賑わせているなら「治験は危ない!」と言われても納得できますが、実際に日本では今回が初めての死亡事故でした。

話は少し逸れますが、皆さんは消費者庁から以下のような発表があったことをご存知でしょうか?

薬局やドラッグストア、インターネットなどで購入できる風邪薬などの「一般用医薬品」による副作用が疑われる症例が、2009~2013年度の5年間で1,225件あり、うち15件が死亡に至ったとあきらかにした。

このように、ただの風邪薬ですら命を落とす可能性はあります。

もちろん、この例は決して「薬の恐ろしさ」をお伝えしたい訳ではありません。事実、薬があるお陰でその何十倍も何百倍も多くの命が助かる可能性があるからです。

ここでお伝えしたいことは、どんな物事でも良い面と悪い面を秤にかけて判断する必要があるということです。

残念

でも残念ながら、元々のイメージが良くない「治験」での死亡事故は、同じ死亡事故でも多くの方の捉え方が異なります。

どうか皆さんは、先入観や既成概念・固定観念にとらわれることなく、治験に参加した先人たちによってワクチンなどの治療薬が生み出され、私たちが生かされているという事実があることを決して忘れないでください。

治験なくして薬は誕生しないのです。

※治験の実施には、被験者となる治験参加者の安全に最大限配慮されておこなわれ、治験の原則にあるとおり、後遺症など万一のことがあれば適切に補償されます。

初心者におすすめの治験

治験には大きく分けて「新薬」の治験と「ジェネリック医薬品」の治験があります。

ジェネリック医薬品について知りたい方はこちらをご覧ください。

治験がはじめての方や副作用が怖いという方は、まずこのジェネリック医薬品の治験に参加することをおすすめします。

ジェネリック医薬品の治験は、すでに処方・販売されている薬と同じ有効成分でつくられており、効果・効能や用法・用量は基本的に変わりません。しかし、形や色・添加物の違いにより体内の吸収や排泄作用に違いが出る可能性があるため、治験が必ずおこなわれます。

健康な成人を対象とした入院の試験で、すでに発売されている薬とジェネリック医薬品との間で、血中濃度の推移に統計学的な差がないことを確認します。この治験を専門的には「生物学的同等性(BE)試験」と言い、日本でおこなわれている入院治験の過半数はこの「ジェネリック医薬品」の治験です。

副作用の観点からお話すると、すでに発売されている薬と成分が同じ薬ということは、新薬販売前に実施された治験ではもちろんのこと、特許で守られながら一般に販売されていた期間(実質15年程度)にもその効果や安全性は、何万・何十万という治験とは比較にならない多くの人たちによって、十分な検証がなされてきたということになります。

面白いことに、新薬で何十年と安全性が確かめられているにも関わらず、「治験は危険だから高額報酬なんだ」などと言われます。

▶︎▷ 治験の報酬が高額になる理由

上述したように、入院の治験への参加を検討されている方は、まずジェネリック医薬品の治験からスタートしてみることをお勧めします。

また、他にも日帰りで参加できる健康食品や化粧品モニターなどの参加しやすいモニターもありますので、ぜひあなたに合ったモニターを探してみてください。

薬の主作用と副作用

そもそも、薬の副作用とはそんなに悪いものなのでしょうか?

「副作用なんて悪いものに決まってる!」と思われる方が大多数だと思いますが、実は副作用からできた薬もあるんです。

では、その説明の前に、まず薬の主作用副作用についてご説明します。

主作用とは副作用の対義語でありその薬に期待される本来の働きのことを指します。

例えば、アレルギーの薬だったら炎症を抑えて症状を緩和する効果。高血圧の薬だったら血圧を下げる効果。また、狭心症の薬であれば血管を拡張するといったその効果を求めている人にとって望ましい作用のことを主作用と言います。

その反対に、その効果を求めていない人にとって望ましくない作用のことを副作用と言います。

なんだか回りくどい言い方ですが、なぜこのような言い回しをしたのかには、ちゃんと理由があります。

それでは、いよいよ副作用から誕生した薬とは何なのかを一緒にみていきましょう。

副作用から誕生した薬

一般的に副作用と聞くと、【死】に直結するような悪いイメージをお持ちの方が多いと思いますが、人によってはその副作用が主作用となって誕生した薬もあります。

例えば、米国の降圧剤(高血圧の薬)には多毛症が副作用として報告されました。これを利用し各国では養毛を目的とした薬(日本ではリアップ)として販売されるようになりました。

他にも、私たちに身近なアレルギーの薬。主作用には炎症を抑えてアレルギー症状を緩和する効果がありますが、副作用として代表的なものには眠気があります。

アレルギーを抑えたいだけの人にとっては眠気は立派な副作用ですが、不眠症などで睡眠をとりたい方には、この眠気という副作用は主作用となります。これを利用して睡眠改善薬として開発されたのが「ドリエル」です。

狭心症の薬にも面白い逸話があります。 狭心症の治療薬として開発されていた「シルデナフィル」という薬の治験での出来事です。

新薬の治験の第I相試験で、狭心症に対する治療効果を確認したところ、目的としていた望ましい効果が見受けられなかったため、治験は中止となりました。

ところが、余った治験薬を返却したがらない参加者がいたため、その理由を確認したところ、勃起を促進するという副作用が確認されました。

これが、現在ではバイアグラとして販売されています。

副作用から誕生した薬

このように、同じ薬でも使う人によっては「主作用」にも「副作用」にもなってしまうんですね。

もちろん、生命に関わる重大な副作用に関しては、誰にとっても間違いなく副作用であると言えます。

例えば、癌の治療薬の副作用と風邪薬の市販薬の副作用では、副作用の許容範囲が異なるのは火を見るよりも明らかです。

しかし、その重大な副作用も疾患によっては、捉え方が変わってきます。主作用と副作用のバランスも重要になるんですね。

治験だから副作用の確率が高い?

副作用の確率

ここまでお読みいただいて、だいぶ副作用のイメージが変わったという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

…とはいえ、治験に参加する際には誰しも副作用は気になります。

安心してください。治験に参加する前には、治験に関する細かな説明をCRC(治験コーディネーター)がしてくれます。これを治験の同意説明と言います。

同意説明では、治験薬に予期される副作用やその確率などについて詳しい説明があります。

治験だからといって副作用の確率が高いなどということはありませんが、治験に参加される際には、説明をよく聞き、十分納得された上で参加してみてください。