日本人が参加できる海外治験とは?参加方法と3つのメリットを紹介

公開日 2022年4月14日 最終更新日 2022年06月08日

実は海外で行われる治験のなかには、日本人が参加できるものもあります。

国内治験より募集件数は少ないものの、海外治験を探して旅行感覚で国外に渡航し、被験者となって謝礼金を受け取っている人もいるのです。

ここでは海外治験がどのような条件で行われているのか一例を紹介し、その参加方法と参加時のメリットを解説します。「宿泊費や交通費を負担してもらえるなら海外治験に参加してみたい」という方は、ぜひご一読ください。

日本人が参加できる海外治験とは

海外で実施される治験のなかには、日本人を対象としたものもあります。

海外治験は国内治験に比べて募集件数が少なく、具体的な内容が知られていない面もあるため、この記事では「ぺいるーと」が過去に掲載した海外治験を例にその概要をご紹介します。

以下は、2022年に掲載していた、日本人の健康な成人男性を対象とするアメリカ合衆国の治験です。

項目 概要
募集対象 20~45歳、BMI18~32の男性
開催場所 アメリカ合衆国
滞在期間 約3か月半
謝礼総額 最大13,602ドル
事前検診 1回
本試験 10泊の入院×1、通院7回

実際に海外治験の過去募集を見る

滞在期間は約3か月半と、人によってはやや長く感じるスケジュールですが、事前検診と本試験に最後まで参加した場合には最大13,602ドルの謝礼金を受け取れます。

2022年4月1日時点のドル円相場をもとに計算すると、日本円にして160万円前後が謝礼金として支払われるため、一般的な国内の入院治験と比較しても「高額」な部類に入るでしょう。

また、海外治験は交通費や宿泊費を負担してもらえます。

事前検診に合格して本試験への参加が決まれば交通費は全額支給、事前検診に落ちた場合でも半額程度(場合によっては全額)が支給されるため、割安価格で海外旅行へ向かう感覚の参加者も珍しくありません。

宿泊費に関しても、一定額の範囲内で滞在日数分の費用が支給されるため、金銭的な負担への配慮はなされていると考えて良いでしょう。

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募集中の海外の治験




日本人が海外治験に参加する方法

日本人が海外の治験に参加する場合、国内で行われる治験と同様に、治験募集サイトに登録して掲載される募集ページから応募する流れとなります。

ここでも「ぺいるーと」を例として、海外治験に参加するまでの手順をご説明します。

応募から参加までの流れ

参加条件を確認して海外治験に応募

国内・海外を問わず、治験には必ず参加条件が設けられています。年齢や性別、BMIなどの参加条件を満たしているかどうかを確認しましょう。

また、海外治験に特有の参加条件として「有効期限6か月以上のパスポート保有」や「海外渡航用ワクチン接種証明の保有」など、国内治験にはない条件が指定されるケースがあります。普段から国内治験に複数回参加している方は、いつもと勝手が違うことにお気を付けください。

この際、あらかじめ治験募集サイトに登録しておくことで、応募をスムーズに進められます。

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申し込み後に届くアンケートに回答

ぺいるーとの場合、応募申し込みのあとに【[ぺいるーと]お申込受付メール】と件名の付いたメールが送信されます。メール内に添付されたURLからアンケートにご回答ください。

医療機関で事前検診

治験の本試験に参加できるかどうかを決める事前検診は、現地の医療機関で行われます。

国内治験と同様、参加条件を満たしていても必ず参加できるわけではありません。ただし事前検診に落ちたとしても、身体の健康状態に問題なければ別の治験を紹介される場合があります。

紹介された治験への参加に合意した場合、再度その治験のための事前検診を行い、合格後に本試験へ参加する流れとなります。

事前検診に合格後、本試験に参加

事前検診に合格した場合、本試験への参加が決まります。

国内治験と海外治験では勝手が異なる部分もありますが、事前検診の合格率を高めるための習慣には共通点があります。ぜひ、こちらの記事にある合格率アップのためのコツを参考にしてみてください。

海外治験に参加する3つのメリット

海外治験に参加する主なメリットは3つあります。

  • 海外を満喫しつつ謝礼金を受け取れる
  • 交通費や宿泊費を負担してもらえる
  • 社会貢献につながる

ここでは「海外治験ならでは」と言えるメリットから順番にご紹介します。




海外を満喫しつつ謝礼金を受け取れる

「治験のために海外へ行く」と考えれば心身への負担が大きく思えますが、「海外旅行の一環として治験に参加する」と捉えれば、海外を満喫しつつ謝礼金を受け取れる素晴らしい取り組みに思えるはずです。

拘束期間が長いほど謝礼金は高額になる傾向があるため、参加する治験を選べばまとまった謝礼金を受け取りつつ、長期の海外生活を楽しめます。

交通費や宿泊費を負担してもらえる

海外までの渡航にかかる航空券の費用は、製薬会社から支給されます。基本的に、事前検診に合格して本試験に参加する場合にのみ全額支給となりますが、事前検診に落ちてしまっても半額程度は支給されます。

先ほどの章とも共通しますが「海外旅行の一環として治験に参加する」と捉えれば、支給額が航空券の半額程度でもありがたく感じられるものです。

また、海外治験のための滞在にかかる宿泊費は、一定の上限を超えない範囲で支給されます。通院が複数回に分かれている場合、待機状態となる空白期間の宿泊費も負担してもらえるため、限りなく金銭的負担を抑えられます。

社会貢献につながる

世の中に新しい薬を流通させるためには、治験と治験へ参加する被験者の存在が欠かせません。

実際、日本国内では治験参加者が集まりづらいために、薬の流通に時間がかかるドラッグ・ラグが問題視されています。ドラッグ・ラグが顕著な日本では、新薬を必要とする人が「治療のための新薬が国内未承認薬であるため莫大な費用がかかる」といった問題に直面してしまうのです。

日本国内の治験にかかわらず、治験参加者が多いほど新薬の流通・販売にかかる時間は短縮されるため、まぎれもなく海外治験への参加も社会貢献につながる活動だと言えます。

治験のメリット・デメリット

海外治験に参加する際の注意点

治験参加時に気をつけるポイントは国内・海外問わずほぼ共通ですが、なかには海外治験特有の注意点もあります。渡航後に「想像と違った」と困惑しないよう、あらかじめご確認ください。

治験中は食事や運動などが制限される

正確な検査結果を求めるため、入院期間中は医療機関側から提供される食事しか食べられません。

参加者によっては「量が少ない」や「苦手な食べ物が入っている」と感じることもあり、また「量が多すぎる」と思っても完食しなければならないため、食事面で我慢を強いられる可能性があります。

このほか、飲酒や喫煙はもちろん負荷の大きな運動も制限されます。また治験によってはハンドクリームや目薬などの日用品の使用も制限されるため、事前に何が制限されるのか確認しておくことをおすすめします。




謝礼金の支払いは治験終了後

海外治験の場合、謝礼金を受け取れるタイミングは治験終了後です。航空券や宿泊にかかる費用の補填も治験を終えたあとに行われるため、一旦は治験参加中にかかる費用を自費で負担しなければなりません。

「報酬を1日単位で受け取れる」と勘違いしないようご注意ください。

事前検診に落ちると本試験へ参加できない

「日本人が海外治験に参加する方法」の章で解説した通り、事前検診に落ちると本試験へ参加できません。また、まれではありますが、事前検診に合格して治験への参加が決まったものの、何らかの理由により本試験の継続が取りやめになるケースもあるようです。

なお、本試験への参加の拒否理由が規定違反だった場合には、謝礼金が取り消される可能性があるため注意しましょう。

プラセボ(偽薬)が使われる可能性がある

プラセボ効果をご存知でしょうか?

プラセボ効果とは、有効成分を含まない偽薬を使用した際に、「薬を飲んだ」という意識が症状の改善や副作用を起こすことを指します。

治験では「症状改善や副作用が薬によるものか否か」を確認するため、有効成分を含んだ薬と有効成分を含まない偽薬を使用し、投薬後の反応を検証するケースがあります。有効成分のある薬を服用したと思っていたものの実際には偽薬を摂取していた、というケースが起こり得る点にはご留意ください。




よくある海外治験の疑問

海外治験への参加を検討する際、よく質問されるポイントをまとめました。海外治験に興味があるものの、こちらには記載のない疑問点がある場合は、お問い合わせページからご質問ください。

どうして海外で日本人を対象に治験が行われるの?

日本人を対象とした海外治験の多くは、海外の製薬会社が薬を日本で市販するために行われます。

というのも、薬の効果や安全性は人種により異なる場合があるため、薬の販路を拡大する際にはその地域の人種を対象とした検証が必要です。海外治験の参加は「国内市販される薬の検証に協力する」といった意義ある活動なのです。

日本の治験と同様にしっかり事前説明を受けられる?

日本の治験と同様、これまでに確認された効果と副作用のほか、想定されるあらゆる作用の説明を受けられます。

治験参加前の事前説明(インフォームド・コンセント)を受け、被験者本人が納得できた場合にのみ治験が行われるため、説明のないまま本人の意思を無視して検証が行われる心配はありません。

治験参加中に途中辞退はできる?

治験は被験者の人権・安全・福祉へ最大限の配慮をもって行われるため、どの段階であっても途中辞退が認められます。

副作用の心配はある?

治験薬に限らず、薬の服用時は副作用があらわれる可能性があります。治験参加中、副作用により健康被害が生じた場合には治療を受けられるなど、安全面に対してできる限りの配慮はなされていますが、副作用のリスクがゼロではない点にはご留意ください。

治験のリスクを正しく理解していただくため、治験のトリセツでは「応募前に知りたい副作用のリスク」というテーマの解説記事を用意しています。国内事例を例にした解説記事ですが、国内・海外を問わず治験のリスク管理には共通する部分が多いため、海外治験への参加を検討するときにご一読ください。