「気分の落ち込みや眠れない状態が続き、以前のように過ごせない」
「抗うつ薬を飲んでいるが、いまひとつ手応えを感じにくい」
「うつ病と診断され、いまの治療に加えて新しい選択肢がないか探している」
──そうした方を対象とした治験(=新しい薬や治療法が国の承認を受ける前に、効果と安全性を確かめる臨床試験)が、全国の医療機関で行われています。ぺいるーとでは、現在募集中のうつ病の治験・臨床試験モニターの情報を掲載しています。
うつ病治験で多い参加条件の例
- 医師からうつ病(大うつ病性障害)と診断されている方
- 18歳〜65歳程度(試験により対象年齢は異なります)
- 現在、抗うつ薬による治療を受けている、または受けていた方
- 症状が一定期間続いている方、または既存の薬で効果が十分でない方
- 通院、または短期の入院・宿泊が可能な方
※実際の参加条件は治験ごとに大きく異なります。各案件の詳細をご確認のうえお申し込みください。
目次
うつ病を対象とした治験とは
うつ病を対象とした治験とは、うつ病(鬱病、大うつ病性障害)の患者さんに対して、新しく開発されている治験薬や治療法が、症状に対してどのような効果を示すか(有効性)、また、どの程度の副作用があるか(安全性)を確かめるために行われる臨床試験です。
うつ病の治療は、休養と環境の調整、精神療法(カウンセリングなど)、抗うつ薬による薬物療法が柱になります。それでも症状が十分に和らがない場合に、新しい作用の薬や治療法を評価する治験が実施されています。治験は、こうした「まだ承認されていない治療の選択肢」を、医師の管理のもとで確かめる段階にあたります。
なお、気分に関わる疾患には、うつ病のほかに双極性障害(躁うつ病)などもあり、それぞれ対象を分けた治験が行われます。ご自身の診断名がどの試験の対象になるかは、各案件の参加条件でご確認ください。
環境調整
(カウンセリングなど)
薬物療法
(治療抵抗性うつ病)
(新しい治療の選択肢)
※治験は既存の治療に代わるものではなく、治療の選択肢を広げるものです。
治験は、いま受けている治療を否定するものでも、通院先を変えるものでもありません。治療の全体像のなかで、治験がどこに位置づけられるのかを知っておくと、参加を検討する際の判断がしやすくなります。
ぺいるーとに掲載される「治験」「健康食品モニター」「化粧品モニター」は、法律上・制度上の位置づけが異なります。応募の前に「自分が参加する案件は、治験なのか、それ以外のモニターなのか」を整理しておくと、報酬の仕組みや参加のハードルを理解しやすくなります。 このページでは、参加者の視点から「治験」...
うつ病の治験で開発されている新しい治療薬・治療法
うつ病の治験では、さまざまなタイプの治験薬・治療法が評価されています。以下は、これまでに募集が見られた主なタイプの例です。どのタイプの試験が募集されているかは時期によって変わります。
新しい作用をもつ抗うつ薬(内服)
これまでの抗うつ薬とは異なる仕組みで気分の症状に働きかけることを目指した、内服タイプの治験薬が評価されています。多くは毎日決まったタイミングで服用し、定期的に通院しながら症状の変化を確認していく形をとります。「抗うつ薬の治験」を探している方が対象になりやすいタイプです。
治療抵抗性うつ病(既存の薬が効きにくいタイプ)を対象とした治験
複数の抗うつ薬を試しても症状が十分に和らがない状態は「治療抵抗性うつ病」と呼ばれます。このタイプを対象に、これまでとは違う作用の治験薬を評価する試験が行われることがあります。ケタミンに関連する成分など、新しい作用の候補が研究の対象として注目されています。いずれも研究・評価の段階にあり、効果や安全性を確かめている途中です。
小児・思春期(12〜17歳)のうつ症状を対象とした治験(近年の動向)
近年は、成人だけでなく、12〜17歳の小児・思春期のうつ症状を対象とした治験の募集も見られるようになっています。子どものうつ症状は成人とは配慮すべき点が異なるため、対象年齢や参加条件、保護者の同意など、試験ごとに慎重な基準が設けられています。お子さまのうつ症状でお悩みの場合は、対象となる試験があるかを各案件の条件でご確認ください。
通院型と入院型(宿泊型)の治験
うつ病の治験には、ふだんの生活を続けながら定期的に通院する「通院型」と、数日間の入院・宿泊で経過を詳しく確認する「入院型(宿泊型)」があります。入院型は2泊3日程度の短期で行われるものもあり、日程はまとめて確保する形になります。ご自身の生活に合う参加形態を選べるよう、各案件でスケジュールをご確認ください。
「通院中・服薬中でも参加できる?」うつ病治験の疑問に答えます
うつ病の治験を検討するとき、多くの方が気にされるのが「いま治療を受けている自分でも参加できるのか」という点です。ここでは、当事者の方から実際によく寄せられる疑問にお答えします。
いま心療内科・精神科に通院している方
現在うつ病で通院・治療中の方は、むしろ多くのうつ病治験で対象となる中心的な層です。うつ病を対象とした治験の多くは、すでに診断を受け、治療を続けている方を想定しています。ただし、症状の程度や治療の内容によって参加の可否が分かれるため、最終的には事前スクリーニング(=参加できるかを事前に確かめる審査)で医師が判断します。
抗うつ薬を服用中の方
抗うつ薬を服用中でも参加できる試験はあります。試験の内容によっては、いまの薬を続けたまま参加できるものもあれば、治験薬の効果を正しく評価するために、一定期間、薬を調整・変更したうえで参加するものもあります。いずれの場合も、自己判断で薬を中断せず、医師の指示のもとで進めます。
主治医に相談すべき?
はい、参加を検討する段階で主治医にご相談いただくことをおすすめします。治験に参加すると、通院先や服薬の内容が一時的に変わる可能性があります。ふだんの治療を担う主治医と、治験を担当する医師の双方が状況を把握していることが、安心して参加するうえで大切です。相談しづらいと感じる場合も、「新しい治療の選択肢を調べている」と伝えるところから始めれば十分です。
どんな状態だと参加でき、どんな状態だと難しいか
一般に、診断を受けて治療中で、症状が試験の想定する範囲にある方は対象になりやすい傾向があります。一方で、症状が非常に重い時期や、自分や周囲の安全に関わる状態がある場合、また特定の合併症や併用薬がある場合などは、安全を優先して参加が難しいことがあります。これは参加を断るためではなく、その方にとって治験参加が適切かを見極めるための基準です。実際の可否は、必ず医療機関での説明・診察・検査をもとに判断されます。
うつ病の治験に参加できる方の例
うつ病の治験に参加できる方の条件は試験ごとに異なりますが、これまでの募集では以下のような条件がよく見られました。
過去案件で多かった参加条件の傾向
- 医師からうつ病(大うつ病性障害)と診断されている方
- 18歳〜65歳程度の方(小児・思春期を対象とした試験は12〜17歳など別基準)
- うつ症状が一定期間(数ヶ月以上など)続いている方
- 現在、抗うつ薬による治療を受けている方
- 治療抵抗性うつ病を対象とした試験では、複数の薬で効果が不十分だった方
- 定期的な通院、または短期の入院・宿泊が可能な方
うつ病の治験に参加できない場合がある例
以下は、安全性や試験の正確な評価のために、参加が難しくなる場合の例です。これらに当てはまっても、別の試験では対象になることもあります。
よくある除外条件の例
- 症状が非常に重い時期にある方、または安全に関わる状態がある方
- 双極性障害など、うつ病とは別の診断が主である方(対象を分けた試験があります)
- 試験で使う薬剤と相互作用のある薬を中止・変更できない方
- 重い身体疾患や、試験で定められた合併症がある方
- 妊娠中・授乳中の方、または試験期間中の避妊に協力いただけない方
最終的な参加の可否は、事前スクリーニングで医師が判断します。上記に当てはまるかどうかご自身で判断がつかない場合も、まずは応募のうえでご相談ください。
うつ病の治験に参加するメリット
専門医による丁寧な検査・診察を受けられる
治験では、通常の診療よりも時間をかけた診察や、詳しい検査が行われることがあります。ご自身の状態を客観的に確認する機会になります。
新しい治療の選択肢に触れられる機会
既存の治療で十分な手応えが得られていない場合に、開発中の新しい治療法を、医師の管理のもとで試せる機会になります。ただし、治験薬の効果は確認している段階であり、必ず効果が得られると約束されたものではありません。
治験中の薬剤費・検査費の負担軽減
治験薬や、治験のために行う検査にかかる費用は、多くの場合、治験を実施する側が負担します。参加期間中の医療費の負担が軽くなることがあります。
負担軽減費(協力費)の受け取り
通院や来院にかかる時間・交通費などの負担を軽くする目的で、「負担軽減費(協力費)」が支払われます。これは労働の対価として支払われる報酬ではなく、参加にともなう負担を補うためのものです。
治験は、新しい薬や治療法の開発を支える重要なボランティア活動ですが、一般的なボランティアとは異なり、「報酬」が得られる点もその大きな魅力のひとつとなっています。 なお、治験で支払われるお金は「謝礼」や「謝礼金」と表現されることもありますが、この記事では「報酬」という言葉で統一して説明します。 ...
うつ病の治験で確認されること
うつ病の治験では、主に治験薬の「有効性(うつ症状に対してどのように働くか)」と「安全性(どのような副作用があるか)」が確認されます。症状の変化は、問診や、うつ症状を評価する質問票などを用いて、決められたタイミングで確認していきます。
これらは、その治験薬が将来的に多くの患者さんに使える薬として承認されるために欠かせない情報です。参加者一人ひとりの協力が、次の治療の選択肢につながっていきます。
治験参加の流れ
うつ病の治験は、会員登録・応募から始まり、説明会、事前スクリーニング(適格性の確認)を経て、参加が決まった方が治験に進みます。参加後は、決められたスケジュールで通院または入院し、経過を確認していきます。
事前スクリーニングを通過するためのポイントは、次の記事でも解説しています。
入院の治験に参加する際、事前の健康診断に合格するためのコツや合格率は、誰もが気になるところです。 この記事では、健康診断に合格するためのポイントや、治験参加までの流れ、入院中のスケジュールについて詳しく解説します。初心者の方でもわかりやすいよう、入院の治験の全体像を余すことなく網羅しました。 ...
費用・負担軽減費について
治験薬や、治験のための検査にかかる費用は、多くの場合、治験を実施する側が負担します。また、通院・来院にともなう負担を軽くするために、負担軽減費(協力費)が支払われます。金額は試験の内容や通院・入院の回数によって異なり、各案件の詳細ページでご確認いただけます。負担軽減費は報酬ではなく、参加にともなう負担を補う目的のものです。
治験参加前に確認すべき注意点
副作用とリスクについて
治験薬にかかわらず、どのような薬にも作用があれば、いくらかの副作用が起こる可能性があります。治験では、事前に医師から起こりうる副作用について説明があり、参加中に副作用が出た場合は、医師によって速やかに適切な対応がとられます。
プラセボ群になる可能性がある
うつ病の治験では、治験薬の効果を正しく比べるために、有効成分を含まないプラセボ(偽薬)を使う試験があります。参加者が治験薬とプラセボのどちらを使うかは、あらかじめ無作為に決められ、本人にも医師にもわからないようにする方法(二重盲検)がとられることがあります。プラセボ群に割り当てられる可能性があることは、参加前に理解しておく大切な点です。試験によっては、参加期間の終了後に実際の治療を受けられるよう配慮される場合もあります。
治験参加中の生活上の注意
治験期間中は、治験薬の効果を正しく評価するために、生活習慣を大きく変えないよう求められることがあります。服薬のタイミングや通院日を守ること、気になる変化があれば担当医師に伝えることが大切です。
途中でやめることができる
治験への参加は本人の自由な意思にもとづくもので、いつでも中止することができます。中止を申し出たことで、その後の通常の診療で不利益を受けることはありません。
「治験で死亡事故はあったの?」 「治験の副作用で後遺症が残ることはあるの?」 「治験の高額な報酬は危険度が高いから?」 治験に対して、このような印象や疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。 日本では年間数万人規模の方が治験に参加していますが、多くの参加者は問題なく試験を終えてい...
募集中のうつ病の治験を探す

うつ病の治療をめぐっては、新しい作用の抗うつ薬や、既存の薬が効きにくいタイプへの治療法の開発が続いており、ぺいるーとでも、うつ病や気分の症状を対象とした治験案件を随時ご紹介しています。募集は、東京・大阪・札幌をはじめ、全国の医療機関で行われることがあります。とくに札幌・北海道エリアは、ぺいるーとが多くの会員の方とつながりのある地域です。
各案件の詳細ページで、対象となる方の条件や負担軽減費、通院・入院のスケジュールをご確認いただけます。会員登録(無料)をされた方には、新しく募集が始まった試験のご案内や、条件に合う試験の情報をお送りすることができます。
治験参加者の体験談
治験への参加を検討される際、実際に参加された方の体験談を読むことは、不安や疑問の解消につながります。ぺいるーとでは、これまでの治験参加者の体験談を掲載しています。
参加までの流れ、検査や診察の様子、通院の実際、感じた率直なご意見など、説明だけでは伝わらない参加者目線の情報をご覧いただけます。
「治験の報酬は魅力的だけど、実際に参加した人はどう感じたんだろう?」 治験について詳しく知らないと、「高額=危険なのでは?」と不安に感じる方も少なくありません。さらに、ネット上には不安を煽る情報も多く、余計に心配になってしまうこともあります。 そこで、ぺいるーとでは、実際に治験や健康...
うつ病の治験のよくある質問
Q. いま通院・治療中ですが参加できますか?
はい、うつ病で通院・治療中の方は、多くのうつ病治験で中心となる対象です。うつ病を対象とした治験の多くは、すでに診断を受けて治療を続けている方を想定しています。最終的な参加の可否は、症状の程度や治療内容をふまえ、事前スクリーニングで医師が判断します。
Q. 抗うつ薬を飲んでいますが参加できますか?
参加できる試験があります。いまの薬を続けたまま参加できるものもあれば、治験薬の効果を正しく評価するために、一定期間、薬を調整・変更したうえで参加するものもあります。いずれも自己判断で中断せず、医師の指示のもとで進めます。
Q. 主治医に伝えるべきですか?
参加を検討する段階で主治医にご相談いただくことをおすすめします。治験に参加すると通院先や服薬内容が一時的に変わる可能性があるため、ふだんの主治医と治験担当医師の双方が状況を把握していることが安心につながります。
Q. 全国どこで募集がありますか?(東京・大阪・札幌など)
うつ病の治験は、東京・大阪・札幌をはじめ、全国の医療機関で募集されることがあります。ただし、募集の有無や実施場所は時期によって変わります。会員登録をされた方には、お住まいの地域で参加できる試験の情報をお送りできる場合があります。
Q. 入院型の治験は何日くらいですか?
試験によって異なりますが、入院型(宿泊型)では2泊3日程度の短期で行われるものもあります。通院型と入院型のどちらが募集されているかは時期によって変わるため、各案件のスケジュールをご確認ください。
Q. 双極性障害やその他の気分障害の治験もありますか?
うつ病のほかに、双極性障害(躁うつ病)などを対象とした治験が募集されることもあります。これらはうつ病とは対象を分けて実施されるため、ご自身の診断名がどの試験の対象になるかは、各案件の参加条件でご確認ください。
Q. 12〜17歳の子どものうつ症状でも参加できる試験はありますか?
近年は、12〜17歳の小児・思春期のうつ症状を対象とした治験の募集も見られます。対象年齢や参加条件、保護者の同意など、試験ごとに慎重な基準が設けられています。募集の有無は時期によって変わるため、各案件の条件でご確認ください。
Q. 謝礼がもらえると聞きましたが、本当ですか?
治験で支払われるのは「負担軽減費(協力費)」であり、労働の対価として支払われる報酬ではありません。通院や来院にかかる時間・交通費などの負担を軽くするためのものです。金額は試験ごとに異なり、各案件の詳細でご確認いただけます。
Q. プラセボに当たったら意味がないのでは?
プラセボ(偽薬)は、治験薬の効果を正しく比べるために必要なしくみです。プラセボ群であっても、決められた診察や検査を受け、ご自身の状態を専門医に確認してもらう機会になります。試験によっては、参加期間の終了後に実際の治療を受けられるよう配慮される場合もあります。
Q. 治験は「バイト」感覚で参加してよいですか?
うつ病の治験は、うつ症状のある方を対象に、治療の選択肢を確かめるために行われるものです。負担軽減費はありますが、収入を得るための仕事ではありません。ご自身の症状や治療と向き合ううえでの選択肢の一つとして検討いただくものです。
本ページについて
本ページは、ぺいるーとがこれまでに募集支援を行ってきたうつ病・気分障害関連試験の実務経験、および日本うつ病学会・厚生労働省・PMDA(医薬品医療機器総合機構)等の公開情報をもとに作成しています。
特定の治療薬・治療法を推奨するものではなく、また、特定の医療機関を案内するものでもありません。治験参加の可否や最終判断は、実施医療機関での説明・診察・検査をもとに医師が判断します。ご自身の治療方針については、必ず主治医にご相談ください。本ページの情報は、診察・診断に代わるものではありません。
こころの不調で受診をためらっている場合も、まずはお近くの医療機関や、公的な相談窓口にご相談ください。
参考文献
- 日本うつ病学会「日本うつ病学会診療ガイドライン」(https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/)
- 厚生労働省「治験について」
- 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」
- PMDA(医薬品医療機器総合機構)
うつ病の治験への参加をご検討の方は、まず無料会員登録をお願いします。会員登録後、ご自身に合う試験への応募が可能になります。






