子宮内膜症の治験|参加条件・募集中の試験・新薬情報を解説

月経痛、慢性骨盤痛、性交痛、不妊など、子宮内膜症に伴う症状は生活の質に影響することがあります。子宮内膜症は、月経のたびに症状が悪化しやすく、長期にわたって付き合っていく必要のある疾患です。ホルモン療法や手術療法に加え、新しい治療薬の研究も国内外で進められており、その一部は治験という形で参加者を募集しています。

このページでは、子宮内膜症を対象とした治験への参加を検討している方に向けて、参加できる条件、現在開発が進んでいる新しい治療薬の方向性、参加までの流れ、よくある不安への回答まで、治験参加を判断するうえで必要な情報をまとめました。

子宮内膜症治験で多い参加条件の例

  • 子宮内膜症と診断された18歳以上の閉経前の方
  • 月経痛・慢性骨盤痛・月経過多などの症状がある方
  • 過去にホルモン療法や手術療法を経験されている方(試験による)
  • 通院が可能な方

※実際の参加条件は治験ごとに大きく異なります。各案件の詳細をご確認のうえお申し込みください。

目次

子宮内膜症を対象とした治験とは

子宮内膜症は、本来は子宮の内側にあるはずの子宮内膜に似た組織が、子宮の外側(卵巣・腹膜・直腸など)に発生する疾患です。月経のたびに症状が悪化しやすく、月経痛・慢性骨盤痛・性交痛・不妊などの症状を伴うことがあり、生活の質に大きく影響することがあります。

既存の治療法としては低用量ピル(LEP/OC)、ジエノゲスト(ディナゲスト)などの黄体ホルモン製剤、GnRH作動薬・GnRH拮抗薬といったホルモン療法に加え、症状や状況に応じて手術療法が選択されることがあります。一方で、すべての患者にこれらの治療が十分な効果を発揮するわけではなく、より幅広い患者に対応できる新しい治療薬の研究が現在も進められています。

治験(臨床試験)は、こうした新しい治療薬の有効性と安全性を確認するために、製薬企業や医療機関が実施する研究です。子宮内膜症を対象として国内外で複数の治験が実施されることがあり、参加には医師による適格性確認が必要です。

子宮内膜症の治療の選択肢

参考: 日本産科婦人科学会「子宮内膜症取扱い規約」、日本子宮内膜症啓発会議(JECIE)

子宮内膜症の治験で開発されている新しい治療薬

子宮内膜症の薬物療法は、長く低用量ピルや黄体ホルモン製剤、GnRH作動薬といったホルモン療法を中心に発展してきました。近年は、より飲みやすい経口GnRH拮抗薬や、ホルモン療法以外のアプローチを目指した研究も進められており、治験という形で参加者を募集することがあります。

ここでは、子宮内膜症の治験で扱われることがある治療薬のカテゴリを、一般的な分類に沿ってご紹介します。具体的にどの治験で何が扱われているかは、各試験ごとに異なります。

経口GnRH拮抗薬

GnRH拮抗薬は、脳から卵巣への信号を抑えることで、子宮内膜症の症状緩和を目指す薬剤です。従来の注射型GnRH作動薬と比べ、経口で服用できる点が特徴とされ、国内外で複数の薬剤の研究が進められています。治験では、用量や投与期間、長期使用時の安全性などが検討されることがあります。

新しい黄体ホルモン製剤(プロゲスチン)

ジエノゲストに代表される黄体ホルモン製剤は、子宮内膜症の治療で広く用いられています。新しい黄体ホルモン製剤や、既存薬の用法・用量を見直す研究が、治験として行われることがあります。

非ホルモン療法を目指した研究

ホルモン療法以外のアプローチで子宮内膜症の症状にはたらきかける可能性のある薬剤の研究も、国内外で進められています。ホルモン療法を継続できない方や、副作用のために中止された方に向けた選択肢を広げる目的で、研究が行われることがあります。

痛みのコントロールを目的とした研究

月経痛や慢性骨盤痛といった疼痛症状に対し、新しい鎮痛アプローチを評価する研究もあります。子宮内膜症に伴う疼痛が主な評価項目になる試験では、症状日誌の記録などをお願いすることがあります。

なお、上記はカテゴリの一般的な紹介であり、特定の薬剤の効果や優劣を示すものではありません。実際の治験で扱われる薬剤は、試験ごとに異なります。試験のフェーズ(第Ⅰ相〜第Ⅳ相)ごとの違いについては治験の種類のページで詳しく解説しています。

注意: 治験は新しい治療薬の有効性と安全性を「確認する」研究であり、参加すれば必ず効果が得られるものではありません。プラセボ(偽薬)群が設定される試験もあります。

子宮内膜症の治験に参加できる方の例

子宮内膜症の治験の参加条件は、試験ごとに細かく設定されますが、おおむね以下のような項目で参加可否が判断されます。実際の参加可否は、実施医療機関での説明・診察・検査をもとに判断されます。

年齢

多くの試験では、18歳以上から閉経前までの方が対象となります。試験によっては、上限年齢が45歳〜50歳前後に設定されていることもあります。

重症度・症状

「中等症以上の子宮内膜症」「月経困難症を伴う方」「慢性骨盤痛がある方」など、症状の程度や種類に条件が設けられていることがあります。診断は受けているが症状がほとんどない方は、対象外となる試験もあります。

診断歴・治療歴

「医師から子宮内膜症の診断を受けている方」「過去の腹腔鏡手術等で確認されている方」「画像検査で所見がある方」など、診断の根拠が求められることが一般的です。試験によっては、過去にホルモン療法を試したことがある方を対象とする場合もあります。

通院可能な地域

通院型の試験では、実施医療機関への通院が継続できることが条件となります。試験の実施医療機関は全国各地にあり、北海道(札幌)から沖縄まで、エリアごとに募集されることがあります。

事前の健康診断(スクリーニング)で重視されるポイントについては治験合格のコツのページでも解説しています。

過去案件で多かった参加条件の傾向

  • 医師から子宮内膜症の診断を受けている方
  • 18歳以上の閉経前の女性
  • 強い月経痛・慢性骨盤痛でお悩みの方
  • 月経困難症を伴う方
  • 過去にホルモン療法を経験されている方も対象(試験による)
  • 東京都港区・八王子市・心斎橋など実施医療機関への通院可能な方
  • 通院型が中心、月1〜2回程度の通院

子宮内膜症の治験に参加できない場合がある例

子宮内膜症の診断があっても、試験ごとの基準により参加が難しい場合があります。代表的な例をご紹介します。

  • 妊娠中・授乳中の方、または試験期間中に妊娠を予定されている方
  • 他のホルモン療法・低用量ピル・特定の鎮痛薬などを継続中の方(試験によって扱いが分かれます)
  • 肝機能・腎機能の異常、重度の心血管疾患、悪性腫瘍の治療中など、別の重い疾患をお持ちの方
  • 直近で開腹手術や腹腔鏡手術を受けた方(回復状況による)
  • 他の治験に現在参加している方、または直近に参加していた方

これら以外にも、試験ごとに細かい除外基準が定められています。条件に合うかどうかは、各案件の詳細をご確認いただくか、実施医療機関でご相談ください。

子宮内膜症の治験に参加するメリット

子宮内膜症の治験に参加することには、新しい治療への協力という社会的意義に加えて、参加者ご自身にも複数のメリットがあります。

定期的な検査・症状評価が受けられる

試験によっては、通常の外来診療よりも詳細な血液検査・画像検査・症状評価などが定期的に行われます。

新しい治療法を試せる機会

まだ一般診療では使えない、開発段階の薬剤を試せる可能性があります。既存の治療で十分な効果が得られなかった方にとって、選択肢を増やす機会になります。

治験中の薬剤費・検査費の負担

治験中に使用する治験薬や、治験のために行われる検査の費用は、製薬企業(治験依頼者)が負担する仕組みになっています。

負担軽減費(協力費)の受け取り

治験のために通院をすると、その時間・交通費などへの負担を軽減する目的で、治験実施医療機関から「負担軽減費」が支払われます。金額は試験ごとに異なります。負担軽減費の仕組みや支払い時期、税金との関係について詳しくは治験と報酬のページをご参照ください。

子宮内膜症の治験で確認されること

子宮内膜症対象試験では、薬剤や治療法が症状の改善やQOLにどの程度寄与するか、また安全に使用できるかを確認するため、さまざまな評価が行われます。試験によって項目は異なりますが、よく見られる評価例をご紹介します。

  • 症状の変化(月経痛・慢性骨盤痛・性交痛・月経過多など)
  • QOL(生活の質)の変化(質問紙による評価)
  • 痛みのスコア・症状日誌の記録
  • 血液検査(ホルモン値・肝機能・腎機能など)
  • 画像検査(超音波検査・MRI検査など、試験による)
  • 骨密度検査(長期試験の場合)
  • 安全性に関する検査(心電図など)

参加者の方には、来院時の検査・症状の記録・服薬の遵守などにご協力いただきます。

治験参加の流れ

ぺいるーと経由で治験に参加する場合の基本的な流れは、事前アンケート → 事前確認・検診 → 本試験参加の3ステップです。通院・在宅・入院など、モニターの種類によってステップが異なる場合があります。詳細はモニター参加の流れのページをご覧ください。治験参加の基礎知識については治験バイト入門もあわせてご覧ください。

費用・負担軽減費について

治験参加にあたり、被験者ご自身の医療費負担は原則として発生しません。治験期間中の治験薬・検査・診察にかかる費用は、治験依頼者(製薬企業等)が負担します。加えて、通院時の交通費や時間的拘束への配慮として「負担軽減費」が支払われます。金額は試験内容(通院頻度、試験期間など)によって異なります。

治験参加前に確認すべき注意点

子宮内膜症の治験に参加される前に、以下の点をご確認ください。

主治医への相談

現在治療を受けておられる方は、試験参加について主治医にご相談されることをおすすめします。継続中の治療と試験プロトコルの整合性を確認することは、ご自身の体調管理の観点からも重要です。

プラセボ(偽薬)が使われる可能性

試験の設計によっては、プラセボ群(有効成分を含まない薬を服用する群)が設定されていることがあります。事前の説明文書にその有無が記載されますので、ご確認ください。

副作用の可能性

新しい薬剤の試験では、未知の副作用が生じる可能性が完全には排除できません。実施医療機関では、定期検査や症状の確認を通じて、安全性に配慮した運用が行われます。気になる症状があれば、すぐに担当医にご相談ください。治験全般のリスクや過去の事例については治験のリスクのページで詳しく解説しています。

妊娠に関する注意

子宮内膜症の治験では、新しい薬剤の影響を考慮し、試験期間中の避妊が条件となることが一般的です。試験参加期間と妊娠を希望される時期が重なる場合は、参加が難しい可能性があります。妊娠に関するご希望は、参加検討の段階で医師にご相談ください。

途中でやめることができる

治験への参加はあくまで自発的なものであり、参加後もいつでも理由を問わず中止することができます。中止しても、その後の医療や治療において不利益を受けることはありません。

治験参加者の体験談

治験への参加を検討される際、実際に参加された方の体験談を読むことは、不安や疑問の解消につながります。ぺいるーとでは、これまでの治験参加者の体験談を掲載しています。

参加までの流れ、検査の様子、通院の実際、感じた率直なご意見など、ホームページの説明だけでは伝わらない参加者目線の情報をご覧いただけます。

子宮内膜症の治験を探す

ぺいるーとでは、現在募集中の子宮内膜症を対象とした治験を、下記のページから一覧でご覧いただけます。エリア・条件・負担軽減費などの詳細は、各試験の詳細ページでご確認ください。

子宮内膜症治験のよくある質問

Q. 軽症の子宮内膜症でも治験に参加できますか?

試験ごとに対象となる重症度の条件は異なります。中等症以上を対象とする試験が多く見られますが、軽症の方や症状が落ち着いている方を対象とする試験もあります。ご自身がどの試験の対象となるかは、募集要項をご確認いただくか、ぺいるーとからのご案内をご参考にしてください。

Q. 現在ホルモン療法を受けていますが、参加できますか?

試験によって扱いが分かれます。現在の治療を継続したまま参加できる試験もあれば、一定期間休薬してから参加することが条件となる試験もあります。主治医と試験プロトコルの両方を確認する必要があります。自己判断での休薬は避け、必ず医師にご相談ください。

Q. 妊娠を希望していますが、参加できますか?

子宮内膜症の治験は、新しい薬剤の影響を考慮し、試験期間中の避妊が条件となることが一般的です。妊娠をご希望される時期と試験参加の時期が重なる場合は、参加が難しい可能性があります。ご希望の時期について、事前にご相談ください。

Q. 過去に腹腔鏡手術を受けていますが、参加できますか?

過去の手術歴は、むしろ子宮内膜症の診断根拠として参加条件を満たすことに役立つ場合があります。ただし、直近の手術については、回復状況によって参加できない期間が設けられることがあります。

Q. 子宮内膜症と子宮筋腫の両方と診断されています。参加できますか?

子宮内膜症と子宮筋腫の両方を併発されている方は少なくありません。試験によっては、子宮筋腫の合併が除外条件となる場合もあれば、許容される場合もあります。診断歴は事前のスクリーニングで確認されますので、両方の診断について正確にお伝えください。子宮筋腫を対象とした治験も別途募集される場合があります。

Q. プラセボ(偽薬)になる可能性はありますか?

試験の設計によります。プラセボ群がある試験では、参加前の説明文書にその旨が記載されますので、必ずご確認ください。プラセボの可能性をどう受け止めるかは、ご自身でご判断ください。

Q. 主治医に相談してから決めても大丈夫ですか?

もちろんです。むしろ、現在治療を受けておられる方は、主治医にご相談されることをおすすめします。ぺいるーとからのご案内は情報提供ですので、参加されるかどうかは、ご自身と主治医の判断でお決めください。

Q. 負担軽減費はいくらくらいですか?

通院頻度や試験期間によって異なります。詳しくは各案件の詳細をご確認ください。

Q. 治験は「バイト」感覚で参加してよいですか?

治験は新しい治療薬の有効性と安全性を確認するための臨床研究であり、アルバイトではありません。負担軽減費は、通院や検査にかかる時間的拘束への配慮として支払われるものです。被験者にも自由意思での参加・中止の権利があり、安全性に関する厳格な基準のもとで実施されます。

Q. 治験参加中に症状が悪化することはありませんか?

新しい薬剤の試験では、未知の副作用や、想定外の症状変化が生じる可能性が完全には排除できません。実施医療機関では、定期検査や担当医による経過観察が継続的に行われます。気になる症状があれば、すぐに担当医にご相談いただける体制が整っています。

本ページについて

本ページは、ぺいるーとがこれまでに募集支援を行ってきた子宮内膜症関連試験の実務経験、および日本産科婦人科学会・厚生労働省・PMDA等の公開情報をもとに作成しています。

特定の治療薬・治療法を推奨するものではなく、また、特定の医療機関を案内するものでもありません。治験参加の可否や最終判断は、実施医療機関での説明・診察・検査をもとに医師が判断します。ご自身の治療方針については、必ず主治医にご相談ください。本ページの情報は、診察・診断に代わるものではありません。

参考文献

  • 日本産科婦人科学会「子宮内膜症取扱い規約」(https://www.jsog.or.jp/)
  • 日本子宮内膜症啓発会議(JECIE)(https://www.jecie.jp/)
  • 厚生労働省「治験について」
  • PMDA(医薬品医療機器総合機構)

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