疾患持ちの方向けの治験とは

【治験中級者向け】

 疾患をお持ちの方が対象の治験とは

 

[目次]
疾患をお持ちの方が対象となる治験とは
-健康体の方と疾患持ちの方で異なるフェーズ
-治験は対象者の条件が細かく限定されています
-疾患持ちの方が通常の治療ではなく治験に参加するメリット

 

□疾患をお持ちの方が対象となる治験とは□

治験・臨床試験モニターを募集する「ぺいるーと」が、治験についての見識があってよりためになる情報がほしいという方に向けて実践的な情報をご紹介します。

今回は「疾患持ちの方向けの治験」を題材にしたコラムです。

 

一口に治験といっても、それぞれに対象者が異なることをご存知でしょうか。

実は健康体の方と疾患持ちの方とでは、たとえ同じ薬の治験だとしても効果・効能を調査するポイントにおいても大きな違いがあるのです。

 

健康体の方と疾患持ちの方で異なるフェーズ
 

治験には薬の開発ステージの違いによってそれぞれのフェーズが存在することは、順序別に紹介する治験・臨床試験の流れのコラムでご紹介しましたが、大きな特徴としてフェーズの違いによって対象者も異なることが挙げられます。

おさらいとしてフェーズⅠ~Ⅲまでの対象者や目的について振り返ってみましょう。

 

フェーズⅠ(第Ⅰ相試験)

【対象者】20歳以上の健康な成人(通常は男性)

【目的】薬による影響を調べて安全性を確認すること(吸収や代謝、排泄など)

フェーズⅡ(第Ⅱ相試験)

【対象者】薬の効果があるとされる病状の患者(少数)

【目的】薬の用法(投与の仕方:投与回数、投与期間、投与間隔)、用量の調査

フェーズⅢ(第Ⅲ相試験)

【対象者】薬の効果があるとされる病状の患者(大勢)

【目的】実際の治療に近い形での効果と安全性を確認や他の薬との比較

 

上記のように、フェーズⅠでは「20歳以上の健康な成人」を対象にしているのに対して、フェーズⅡ・Ⅲは「薬の効果があるとされる病状の患者」を対象にしている点が大きな違いです。

つまり、フェーズⅠの段階では薬による“病気に対する効果”というよりも、吸収や代謝、排泄などの“服用した際の影響”に着目しています。

 

一方のフェーズⅡ・Ⅲは病状の患者を対象に薬の用法・容量の調査や実際の治療に近い形での効果や安全性の確認がメインとなります。

このように健康体の方を対象としたフェーズⅠと疾患持ちの方を対象としたフェーズⅡ・Ⅲは、実施する目的も異なるのです。

 

治験は対象者の条件が細かく限定されています
 

フェーズⅡ・Ⅲの治験の中でも特に多いのが、糖尿病や高血圧などの疾患を持った方を対象としたものです。

ともに“国民病”と呼ばれるなど、罹患率が高い疾患なだけに、薬の効果・効能に関する検証結果が非常に重要になります。

 

ただ、糖尿病や高血圧の治験のニーズは高いものの、疾患を持った方であれば誰でも治験に参加できるというわけではありません。

それぞれの治験を受けられる人の条件を確認してみましょう。

 

【糖尿病治験の基本条件(例)】

(1)日本国籍をお持ちの方

(2)20歳以上の方(男女問わず)

(3)BMIの指数が20~45の方

(4)治験を実施する医療機関に通院が可能な方

(5)保険証をお持ちの方

(6)糖尿病の疑いがある方

(7)現在糖尿病の治療中または診断された方

※募集している治験の内容によって(6)(7)の求められる条件が異なります。

※その他血糖値やHbA1cの数値の条件が設定されている場合もあります。

 

【高血圧治験の基本条件】

(1)日本国籍をお持ちの方

(2)20歳以上の方(男女問わず)

(3)治験を実施する医療機関に通院が可能な方

(4)保険証をお持ちの方

(5)3~6ヶ月間に他の治験に参加していない方

(6)治療中で拡張期血圧の上が140以上で、下が90以上の方

(7)未治療で拡張期血圧の上が160以上で、下が100以上の方

 

また、場合によっては上記の内容以外の条件を求められるケースも存在します。

治験は対象者の条件が細かく限定されているので、その点を肝に銘じ、自身の病状や健康状態と条件がマッチする治験に参加するようにしましょう。

 

疾患持ちの方が通常の治療ではなく治験に参加するメリット
 

糖尿病と高血圧の治験参加の条件についてご紹介しましたが、実際にそうした疾患をお持ちの方は通常の治療ではなく、治験に参加することに何のメリットがあるのでしょうか。

まだ一般に出回っていない薬を投与することに少なからず心配もあるかと思いますが、以下の4つのようなメリットがあります。

 

メリット1:最先端の治療が受けられる

現状の薬や治療法に満足していない方は、治験に参加することで、一般の方では受けることができない最先端の治療を受けられます。

 

メリット2:治療費用の負担が軽減される

病気の治療には通院費や薬代などの費用がかかりますが、治験の場合はその負担が軽減されたり、費用が無償になったりするケースもあります。

 

メリット3:充実した医療ケアを受けられる

まだ未承認の薬を投与するため、治験の場合は医師やスタッフとの密なコミュニケーションが不可欠です。

経過観察も入念に行うので、安心のケアを受けられます。

 

メリット4:新薬開発で社会貢献できる

自身が薬を服用したデータを取ることで、新薬開発のための貴重なサンプルとなります。

治験に参加することはそれだけ社会にとって意義深いことでもあるのです。

 

上記のように疾患をお持ちの方が治験に参加すると少なくない利点があります。

どれも通常の治療では実現できないことばかりなので、自身の疾患の条件と合う治験の募集が合った場合は参加されることをおすすめします。

 

特にメリット4に関しては、今後の医療業界において大変意義深いことであるのと同時に、ご自身にとっても貴重な体験になるはずです。

厄介なはずの病気の治療が“誰かの役に立つ”――そんな理想を実現できるのが治験ならではのメリットといえるでしょう。

 

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